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【読書】ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 帚木蓬生

 

ネガティブ・ケイパビリティ  答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)
 

 

精神科医で作家である著者が詩人のキーツが残した「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉に関して考察していく本である。

 

ネガティブ・ケイパビリティとはタイトルの通り、「答えの出ない事態に耐える力」と簡単に定義してもいいだろうと思う。要はどうしようもない事態に直面した際に、わざわざ答えを出そうとする努力はせずに、それに耐えることによりいつか何かが変わるだろうという感覚だ。

 

僕はこの本を読みながらこれまでずっと面談を続けてきたメンタル不調のスタッフのことを考えた。僕は面談をこの1年半毎週のようにそのスタッフと続けてきたが、決して何かの答えを出すために面談をしてこなかった。

 

なぜなら僕には出すべき答えがないからだ。スタッフにはスタッフの想いがあるだろうし、組織には組織の限界がある。そのはざまで僕がわざわざ答えを出す必然性がないし、わざわざ僕が答えを出すことは逆に無責任な気がしていたからだ。

 

営利組織は得てして答えを出したがる。普通はまあそうだろうと思う。自分が経営者なら、働き手としてカウントされないスタッフに時間と労力を当てて面談を行うことは無駄だと切り捨てるかもしれない。

 

一方で僕自身が自律神経障害を患っている。そういうこともあってスタッフの立場に立てるが故に、スタッフを放り出すこともできないのだ。

 

そこで出てくるのがこのネガティブ・ケイパビリティなのだろう。解決策は見いだせない、出口が見えない。そんな問題はたくさんあると思う。

 

卑近な例では、あるスタッフとあるスタッフの個人的な感情のもつれなんかも同じだ。僕にはどうしようもできない。理屈の問題を超えてるからね。

 

ネガティブ・ケイパビリティに必要なのは、今の世の中ではおろそかにされがちな忍耐力だろう。忍耐力が少し積極的すぎる言葉なのであれば、単に「待つ力」と言ってもいいかもしれない。

 

待つという行為は今の日本の世の中では、あまり価値を見出されていない気がする。みな待てない時代をいきているのではないか。空白の時間を持て余し、スマホに手を伸ばすのもネガティブ・ケイパビリティの欠如とも言えるかもしれない。

 

効率化や生産性などを語りつつも、そうした限定された時間軸や空間軸を超えたところにあるもっと大きな時間軸や空間軸でこの「待つ力」というものを顧みることも重要だなと思った。

 

Life is the dancer and I am the dance.

 

 

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