ボンヤリズム

Life is the dancer and I am the dance.

【読書】芥川症

 

芥川症 (新潮文庫)

芥川症 (新潮文庫)

 

 

生きていると必ず老いる。生きていると必ず病気になる。生きていると必ず死ぬ。

 

これらのことに対抗する手段は、今のところない。老いないようにはできない。病気も対処療法しかなく、風邪さえも治せない。そして死を避けられる人は皆無だ。

 

しかし、人は老いたくない。病気になりたくない。死にたくない。わかっちゃいるけど、老いも病も死も、先延ばしにしたい。

 

生vs老、生vs病、生vs死。つまり矛盾しているけど、生きていること自体が、老病死への苦悩の根元でもある。この大いなる矛盾を抱えて僕らは生きているのだ。

 

そうした矛盾の中に生きる人の生老病死を、時にはサスぺンス風に、時にはホラー風に、時にはホームドラマ的に、様々な作風により短編仕立てで描きあげた作品がこの本。

 

この著者の本以外にも、医療従事者が書く小説には医療介護に「問い」を立てる作品が多い。今の医療へのアンチテーゼ的な作品が多いのはなぜか。

 

現場で感じるのは、多くの患者や家族、そして医療従事者も含めた多くの日本人の医療への幻想だ。

 

先日もある患者の対応をしていた。息子さんが来ていた。聞くと介護施設で介護士として働いているとのこと。いわく「長年介護の仕事をしていて、介護のことや簡単な医療の事は分かっているんだけど、自分のオヤジとなると何とかならないのか?何とかして欲しいと思ってしまう。なんなんでしょうね。」

 

幻想自体は間違いではない。しかし、医療への過度の期待や落胆は、医療が幻想で有る限り起こり続ける。それはある意味悲劇だ。

 

世界の誰も経験したことのない少子高齢化に突入する日本。この医療に対する国民的パラダイムの変換は可能なのだろうか。


でなければ、2025年、2040年問題は乗り越えられない。当事者としても、そこは考えていきたい。

 

Life is the dancer and I am the dance.