ボンヤリズム

Life is the dancer and I am the dance.

【読書】希望という名の絶望

 

希望という名の絶望―医療現場から平成ニッポンを診断する―

希望という名の絶望―医療現場から平成ニッポンを診断する―

 

 

癌の専門医が書くエッセイである。タイトルは何となく医療的だが、その内容はその当時の世相を医師が斬るというタイプの内容である。

 

結構、読むのが大変だった。なんだろ、理屈っぽいわりにたどり着く結論が結構おおざっぱだから?よくわからないけど、エッセイの割に読むのに苦労した本だった。

 

医療的な話も最初の方は出ていて、その話からすると、タイトルは本質を突いたものだ。生きる希望を追求していった先には、絶望があるかもしれない。みたいな話。

 

自分も医療従事者だから、その部分はちょっと書いてみる。医療現場に居て、寝たきりで身体は硬くなり手足は折れ曲がり、意思の有無も分からず、管からの栄養で生きている患者を少なからず見る。

 

生きる希望とは何なのか?逆に生きてはいるけど、そこには希望などあるのか?生きてることこそ希望なのか?本人にとって?家族にとって?医療従事者にとって?そんな疑問は常にある。

 

しかし、生きている限り、僕ら医療従事者は希望をみようとする。

 

少しでも快になる希望を。だから医療という現場には、医師も含めた医療従事者、患者当人、その家族が登場人物なのだが、この著者のいう希望や絶望とは、いったい誰のものの話なのか?僕はそれが読み取れなかった。

 

というか、著者自身もなんとなく希望持ちすぎるのもなんだし、絶望ってのもまあそれなりに仕方のない部分もあるよ的な感じなのか。僕自身がしっかり読み切れていないのかもしれないが、別にそれはそれで仕方ない。

 

個人的な話であるとの前提で言う。本来、人生は苦であるというのが、僕のというか、僕が影響を受けている仏教などの東洋的な発想による認知フレームだ。この世は全て苦であり、たまにちらつく希望に夢を馳せながら生きている。

 

著者は引用している。

 

死ぬまでは人間は幸福とは言えない。(田中 美知太郎)

 

著者も気付いているのだ、この世に永続的に続く希望などないのだと。人生は苦であると。しかし、人は生きる希望にすがりたい。だが、この世がもともと苦であることを理解しないままに持つ希望の先にあるのは絶望である。

 

政治の話や教育の話も出てくるが、どこか突き放した感じのエッセイで、実は著者自身も、この辺の厭世観みたいなもの背景にあって、それがその突き放したものの見方に反映されているのかなと邪推した。その辺で少し親近感を感じたかな。

 

Life is the dancer and I am the dance.